続けることの意味

続けてきてよかった、と思うことも、やめてしまえばよかった、と思うことも、日々の暮らしの中でたくさんある。



さっさと見切りをつける
仕切り直す
切り替える


それらはとても大切なことで、悪しき習慣に対してなら、なおさらだ。

ただ、そうでない場合は、やめてしまったことで気持ちの中にモヤモヤとした何かが生まれ、残ることが多い。


呼吸をするように続ける。
長いスパンで続ける。
すぐに成果(結果)を求めず続ける。


私は音楽に携わる仕事をずっと続けてきた。
学生の時から教え始めたので、指導歴は今年で32年になる。

音大を出ていないことがコンプレックスで、グレード取り、がむしゃらに演奏活動や勉強会に参加して自分の中の「弱み」を封じてきたけど、教え始めて20年ほどしたときに「のびやかな演奏と柔軟な指導があなたの魅力で武器。続けて行くことでそれが天職となる」といわれ、ずっと封じ込めていたものがすぅっと消えていった。


イベントやブライダルの演奏、米軍の教会ピアニスト、カルチャーやら病院やら、指導以外にいろんな仕事ことをしてきたけれど、軸になっているものは「音楽」


もちろんやめてしまいたい時や、うまくいかないこともたくさんあったけど、「音楽」とはつながっていた。


私はこれからもずっと「音楽」をつづけていく。
場所や環境や収入は関係ない。
なぜなら「音楽は万人のもの」だから。


音楽に支えられたから恩返しをするわけではない。


自分がやっていて楽しいから続ける。
うれしいことがたくさん生まれてくるから続ける。


自閉で目を合わすことができなかった子が、8か月たった今、私と目を合わせて「こんにちは」と笑顔でいい、大きな声で歌を歌う。

難聴で補聴器を付けている子が、ピアノソナタをバリバリ演奏する。

定年を機にピアノを楽しむ人たちがいる。
たのしそうに唱歌や流行歌を歌う人たちがいる。


それらをみるのがうれしくて、たのしくて、ハッピーだから、続ける。



たくさんの出会いの中で、長く一緒にいられるものは、ほんのわずかで充分だと思う。


それに出会うために、趣味も仕事もいろいろとやってみるんだから、続かないことがダメとか、飽きっぽいとか、否定しなくていいんだよ。


再開することは恥ずかしいことじゃない。


続けることで一生モンに出会うこともあるから、人生はおもしろい。