優ちゃん日記13−旅立ちの準備ー

昨日、おくるみに包まれていい子に眠っている優ちゃんを連れて、初めてのお散歩をしたyukaたち。

優ちゃんにとって初めてのお外。初めての光。初めての風。

誰か見ても天使ちゃんのお散歩には見えない。
ごくフツーの若夫婦が、赤ちゃんを抱いてあたたかな陽ざしの中を笑顔で歩く姿だ。


三人で一緒に寝る。
お着替えをさせる。
おむつを換える。
お散歩をする。

そんなフツーのことをやりながら、「今」を過ごす二人。


天使ちゃんたちの棺が、みんな被災地へ送られて、優ちゃんのものは在庫確認ということになった。
あるものを使う。それで充分だ。

むしろ、ちゃんと旅立ちの準備ができることをありがたいとさえ思う。


被災地では多くの小さな命が天国へいっていることを、私たちはニュースであれほど知っていたのに、いわれて初めて気づくという愚かさ。

そんな当たり前のことを天使になってまでも教えてくれた優ちゃんが旅立つ日は、22日の朝になった。
華美なことは一切しない。
お通夜も告別式もせず、祭壇も作らず、ただ、本当に身内だけで、前日夜、わが家で納棺をし、手持ちの写真をお見送りの時に飾り、火葬のあとお別れ会を兼ねたお昼を食べる。


その日までの間、yukaたちは自分たちの家に優ちゃんを連れて帰り一緒に過ごすという。

おなかにいるときに散歩した川べりや、公園の花、木々のみどりを一緒にかんじているんだね。


それぞれが、それぞれの旅立ちの準備をすすめている。


優ちゃんはきっと背中に羽をつけて生まれてきたんだね。
その羽が羽ばたくたびに、いろんなものが贈られてきたよ。

目に見える大切なものと、目には見えない大切なもの、その両方がほら、こんなにたくさん。

きっとこれからもいろんなところで「気づき」があるんだろう。