田んぼで送る
節くれだったぶっとい指でショパンを弾く菅沢さん。
奏でられる音の繊細さを誰が想像しようか・・・
あぁ、あのショパンおじさんね。と遊び場仲間はいうだろう。
その菅沢さんが64歳の若さで急逝した。
公の彼の顔はみんなの方がよく知っている。
わたしが知っている彼は、ピアノが大好きでロマンチックな、それこそ、少年のような菅沢さん。真摯に楽譜にむかう姿。ただ、それだけ。
本業は池袋に事務所を構える一級建築士だけど、晩年は「青空農園」を設立し農業に従事。
今年田植えをした苗が実り始めた秋、菅沢さんは逝った。
祭壇はその稲穂で作られた。
田んぼをつくろう。その中で眠らせてあげよう。有志の心意気で作られた「たんぼ」
献花も稲穂。(画像)
頭をたれた稲穂のなかで、寝そべって目をつむっているようだった。
「力を尽くす」これが彼のスタイル。
言葉どうり「力を尽くして」生きた。
「菅沢はやりきって逝きました。だから悲しまないでください」
喪主である奥様のことばが残る。
彼の影響力はとても大きい。
いつでも会える、と思っていたけど、いつでも・・・なんてことはないんだよ。
会いたくなったら会いに行く。自分から会いに行く。とてもだいじなこと。