「本」 観用少女(プランツ・ドール)

kurin2005-02-02


川原由美子作 全4巻(朝日ソノラマ

一話完結なのでどこから読んでもOKというのがありがたい、「眠れぬ夜の奇妙な話」コミックスです。
プランツドールは育っていくお人形で、買い手との相性がいいとお店に飾られている段階で、天使なんてもんじゃないくらいの極上の微笑みを投げかけ、その後も買い手を癒し、それはそれは愛らしく育っていくのです。
一日3回のミルクを人肌にあたためて与えるのだけど、少女にとっての何よりの栄養は「愛」。おろそかにすると育つどころか、悲しい瞳をして肌つやも衰え、髪もバサバサになって、しまいには動かなくなってしまいます。

絵はめちゃくちゃ乙女チックなかわいらしータッチ。だからこそ読み手の心を揺さぶったりしちゃうわけだけど、この手の絵が苦手な人には甘ったるいかも。
コンセプトは心の闇に微笑をってとこですかね。その「存在」が人を変えていく姿をいくつものストーリーで描いています。

愛情がなくなると枯れていくのは花も人間も同じ。
愛情のかけかたひとつで、かけがえのない存在にもなるし、逆に悲しい想いもするわけ。

一家に一体、ほしいなぁー。