ピアノのおけいこ

私はピアノを通じて「音楽のたのしみ」を伝える仕事をしています。
そのために演奏するテクニックや楽譜を読むうえでの決まり事などを教えます。


「音楽を楽しめる子」になってほしい。
「心のよりどころ」にしてほしい。
好きな曲が弾けるようになってほしい。
おもちゃのピアノをずっと弾いてるんで。
歌をすぐ覚えるので。
自分が何も弾けないのでせめて子供にはピアノぐらい弾けるようになってほしくて。


ピアノを始める動機はさまざま。


お友達が習ってるから、という理由も多い。
習い事をやっている子が多くて遊ぶ子がいない、なんてのも始める「理由」だったりする。


自宅で練習する環境がまったくない状態でも、ピアノが弾けるようになる、と思っている親御さんもいる。
スイミングに通えば泳げるようになる、っていうのと同じ感覚。
家にプールがなくても、家で練習しなくても確かに泳げるようにはなるからね。
そしてスイミングにいくにあたって、水着、ゴーグル、は用意するのに、鍵盤の用意はしない。
楽器は安価ではないし、家族で使えるものでもないから、ピアノを買うお金があったら家電や車を優先する。


その環境下で上達が遅い、といわれても困ってしまう。


作家は文字を使いいろんな世界を伝え、作曲家は音符を使いその世界を伝える。
本を読むために文字を覚えるように、曲を演奏するために音符を覚える。


覚えるまでは何事も反復練習が上達の近道。


「先生はどこまで教えてくれるんですか」と入会説明のときに聞かれたのは昨日のこと。


改めて考えてしまった「どこまで」という言い方。

どこまでって、期間なのか、レベルなのか。

私は、「ピアノはあくまでも音楽の入り口」的な位置づけとしているので、そこからほかの楽器や歌、ダンスなどに発展していってほしいし、アンサンブルや連弾から「協調性」相手を「聞く」「見る」力、を養ってもらいたい。
さらに、音楽は弾き終ってはじめて「完結」するので、それに至るまでの「集中力」「根気」を身に着けてほしい。と思っている。


与えられるのが当たり前の世代層の親御さんが多くなったせいか、なかなかオーダーが出ず、そして出たオーダーはとてもよくばり。


挨拶をする。靴をそろえて脱ぐ。返事をする。背筋を伸ばす。手を洗う。爪を切る。髪の毛を束ねる。などレッスンをするにも「日常のマナー」が必要なことをその都度教えなくてはならないのも、イマドキです。